【振り返り】書こうと思えど筆が進まず… 齢を重ねて思うこと
かねてより、心の奥底には何か書きたいという思いがじんわりと湧き上がっていました。まるで、豊穣な大地が作物を育むように、私の中に様々な想いや経験が蓄積されているような気がしていたのです。そして、ようやく自由な時間ができ、誰にも邪魔されない書斎という名の舞台も整いました。さあ、思う存分筆を執り、言葉を紡ぎ出そうと意気込んでキーボードに向かったのですが……現実は、なかなか厳しいものでした。指先はまるで意思を持たないかのように、キーの上を彷徨うばかり。頭の中には漠然としたイメージはあるものの、それを具体的な文章として形にする力が、今の私には不足しているのだと痛感しました。
思えば、若い頃から文章を書くことに慣れ親しんできたわけではありません。常に頭の片隅には「いつか書こう」という思いがありながらも、日々の雑事に追われ、その機会を先延ばしにしてきたツケが回ってきたのでしょう。もし、あの時、書くという行為を日々の習慣とし、少しずつでも実践を重ねていれば、今こうして筆(キーボード)が止まってしまうこともなかったのかもしれません。
将棋界の若き天才、藤井聡太氏のストイックな姿勢をニュースなどで拝見するたびに、感銘を受けると同時に、自身の甘さを痛感します。彼は、盤上のことだけをひたすらに研究し、考え、実践することで、驚異的な集中力と実力を身につけられました。もちろん、若さと才能という要素は大きいでしょう。しかし、68歳を迎えた私も、彼のように一つのことに真摯に向き合い、意識して集中する訓練を続ければ、少しずつでも集中力は取り戻せるのではないか、というかすかな希望を抱いています。
しかしながら、正直なところ、年齢を重ねるごとに気力というものはどうしても衰えていくものだと感じています。若い頃のような、溢れんばかりのエネルギーは、今どこへやら。それでも、まだ諦めるわけにはいきません。細々とでも、自分のペースで、心に湧き上がる想いを言葉として残していくこと。それが、これからの私のささやかな目標です。焦らず、諦めず、少しずつでもキーボードを叩く習慣を取り戻せるように、日々を大切に過ごしていきたいと思っています。
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