驚くべき人間の力:暑さに立ち向かう私たち


 いよいよ暑い季節がやってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 近頃、「人体600万年史」という興味深い本を読み進めておりますが、この暑い時期にぴったりの記述に出会い、改めて人間の持つ力に感心させられました。

 我が家の猫たちや、かつて一緒に暮らした愛犬を思い返しても、動物たちはやはり夏の暑さが苦手な様子です。日差しが最も強い日中に、近所の猫たちがのんびり散歩している姿はあまり見かけませんね。餌をねだりに来るのも、涼しい早朝や夕暮れ時、あるいは夜が多いように感じます。

 もちろん、近年の「酷暑」と呼ばれるような厳しい暑さの中では、私たち人間も外出を控えることが賢明です。しかし、それでもなお、炎天下で活動する人々の姿を目にすると、人間という存在の持つ「暑さへの耐性」には驚かされるものがあります。

 件の本によれば、私たち二本足で歩く人間は、四本足の動物たちと比べて、太陽の光を直接浴びる体の面積が格段に少ないのだそうです。考えてみれば、毛皮に覆われた背中全体に強い日差しを受け続ければ、体温の上昇は相当なものでしょう。この単純な事実に、私はこれまで気づきませんでした。実に新鮮な視点です。

 この「暑さに強い」という特性は、私たち人類が、その揺籃の地である赤道直下のアフリカで進化してきた過程で獲得した、いわば「生き抜くための特別な力」なのだそうです。他の多くの動物が暑さで動けなくなる日中に活動できるということは、危険な肉食動物から身を守り、食料を探す上で、計り知れないほど有利だったに違いありません。体温を上げずに長距離を移動できる能力も、過酷な環境に適応するための、人類の偉大な進化の証と言えるでしょう。

 もちろん、現代の夏の暑さは、私たちの祖先が経験したものとはまた違う厳しさがあるかもしれません。油断は禁物で、熱中症対策は欠かせません。

 しかし、私たち人間には、本来、他の動物にはない「暑さに立ち向かう力」が備わっているのです。この事実は、少しばかり誇らしい気持ちにさせてくれますね。先人たちの知恵と現代の便利な道具を上手に活用しながら、この夏もどうか健やかにお過ごしください。私たちに備わったこの素晴らしい能力を信じて、元気に夏を乗り切ってまいりましょう。

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