Evernote以前の記憶:thinkbookと紙copi

 最近、長年愛用したEvernoteからGoogle系のアプリへ移行したのですが、ふと、そのEvernoteを使う前は何を使っていたっけ?と思い返す機会がありました。

今回は、Evernote以前に私がどんなツールで情報を保存したり、メモを取っていたのか、その記憶を辿ってみたいと思います。

ネット時代の夜明けと「thinkbook」

 Windows 95を使っていた頃だったでしょうか。インターネットで情報を見るのが楽しくなり、「あ、このページ残しておきたいな」と思ったときに活躍したのが、「thinkbook」というアプリでした。

 ネットサーフィン中に気になったページを簡単に保存でき、そこにメモを書き加えることもできる優れものでした。今でいうWebクリッパーのような機能でしょうか。

 しかし、使い込めば使い込むほど、操作性の悪さや重さが気になるようになり、残念ながら作者の方もアップデートへの意欲を失ってしまったのか、やがて別のツールを探すことになります。我慢しながら使っていたのですが、より良いものを求めての自然な流れでした。

日記とメモの融合「紙copi」との出会い

 そんな時に巡り合ったのが、「紙copi」というソフトです。確か、高校生が作ったと評判になったシェアウェアだったと記憶しています。

 当時のメインブラウザだったInternet Explorerで開いたページなら、手軽に保存できました。これはthinkbookと同様の便利な機能でした。

 そして何より秀逸だったのが、「日記機能」と「メモ」の融合です。仮想日付という概念もあり、日々の出来事や思いついたことを、日付を付けて残すことができたのです。これはまさに、私にとってのデジタルスクラップブック兼日記帳となりました。

 この紙copiには、その頃の日々の記録や、残しておきたい様々なメモが大量に保存されていきました。携帯端末のZaurusで取ったメモも、パソコンでは紙copiで管理する、というような使い分けをしていた時期もありました。それくらい、当時の私の情報管理の中心となっていたツールです。

時代の波とEvernoteへの移行

 しかし、時代は容赦なく変わります。インターネットブラウザはInternet ExplorerからGoogle Chromeへ、携帯電話はスマートフォンへと主流が移っていきました。

 Chromeユーザーとなった私は、紙copiだけでは情報を保存しきれなくなり、やがてEvernoteへとメモアプリのメインをシフトせざるを得なくなりました。

データの断捨離

 紙copiに蓄積された膨大なデータをどうするかは、本当に悩ましい問題でした。結局、紙copiからEvernoteへの直接的なスムーズな移行は諦め、必要なメモはEvernoteに手で打ち直す、という形を取りました。特に日記データの大部分は、パソコンを買い替える度に失われていくことになったのです。

 まぁ、二年間使わないメモは多分今後も使わないだろうという、ある種割り切った考え方をした結果でした。

 この時の経験が、後の10年以上使ったEvernoteからGoogle Keep + Documentへ移る際のデータ整理にも活かされました。何千とあったノートの中から、厳選して千個程度のノートを移し替えたのですが、実際に必要なメモはその内の200個もなかったという事実に直面しました。(もちろん、一つのノートに多くの情報が含まれている場合もありますが)

 過去の全てを残しておきたいという方もいらっしゃるでしょうし、これはあくまで私の考えですが、残りの人生を有意義に過ごすためには、不要になった過去のデータやメモは、潔く手放すことも大切だと、これらの経験から学んだ気がしています。

 Evernote以前、私の情報管理とメモの中心だったthinkbookと紙copi。それぞれの時代で役割を果たし、そして時代の流れと共にバトンを渡していきました。今回のEvernoteからの移行を機に、こうしたツール遍歴を振り返るのも面白いものですね。

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