絶滅が規則であって、生存は例外である。

猛暑と温暖化 ~人体600万年史を再読して思うこと~

 連日、厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。暑いのは嫌いではないのですが、こうも続きますと、さすがに身体に応えますね。

 特に気になるのが、大量の汗です。汗が肌の上で乾き、また出て、の繰り返しで、つい匂いも気になってしまいます。考えてみれば、私たち人間(ホモ・サピエンス)の祖先が、全身に汗腺を持つようになったのは、何万年もの長い時間をかけてのことだと、先日、ある書籍を再読して改めて感じました。長時間、獲物を追って走り続けるために、体温を効率よく下げる機能として獲得されたようです。もちろん、それだけが一つの理由というわけではなく、一言では語れない奥深さがあるようですが、とにかく、厳しい環境を生き抜くために得た大切な機能なのですね。

 私たちの直接の祖先であるホモ・サピエンスは、およそ600万年という気の遠くなるような長い歴史の中で、様々な気候の変動や住環境の変化に耐えて生き残ってきました。その過程で、ネアンデルタール人やホモ・エレクトスなど、私たち以外の様々な人類種が姿を消しています。環境の変化に適応できなかったのか、あるいは生存競争に敗れたのか、理由は様々でしょうが、とにかく、現生人類として生き残ったのは私たちホモ・サピエンスだけなのです。

 地球の歴史を振り返れば、全てが氷に覆われた「全球凍結」の時代や、灼熱の時代もありました。生命が誕生してからも、大規模な氷河期を経験するなど、地球の環境は常に変動してきました。そして、その変動に適応し、進化してきたのが私たち生命です。

 しかし、今、私たちが直面している「温暖化」という変化は、過去の地球のサイクルとは異なる、人間活動が引き起こしている側面が強いと言われています。これほど急激な変化に、私たちの身体、人体はどのように適応していくのだろうか、と興味深くも少し不安な気持ちで見ております。

 今年の猛暑を見ても、熱中症で命を落とす方々がいらっしゃる。これは、個々人の対応力の限界なのか、あるいは、人類全体として、この環境変化に適応できなくなってきている兆しなのではないか。長い年月をかけて生存を続けてきた人類にとって、今、この温暖化は、まさに生存継続への大きな試練として訪れているのかもしれません。もしこの変化に適応できないとすれば、残念ながら、多くのホモ・サピエンスが生き残れない厳しい時代になる可能性も考えられます。そして、この試練を乗り越え、適応できた僅かな種だけが、新たな人類として、あるいは形を変えて生き残っていくのかもしれません。

そんなことを考えていますと、ある言葉が心に浮かびます。

絶滅が規則であって、生存は例外である。

 これは、生物の歴史を見れば明らかだと言われます。地球上に誕生した生命の種のほとんどは、すでに絶滅しているのです。そして、私たち現生人類の「生存」こそが、実は当たり前ではない、「例外」的な状態なのではないか。

 この異常ともいえる猛暑は、私たち人間が、これまで当然のように享受してきた「生存」という例外的な状態から、自然の「規則」である絶滅へと近づいていることを示唆しているのではないか。そんなことまで考えてしまう今日この頃です。

 これから先、私たちの身体、そして社会が、この温暖化という大きな変化にどう向き合っていくのか、注意深く見守っていきたいと思っております。

皆様もどうぞご自愛ください。

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