計算尺は滅び、算盤は生き残った。なぜ?
~設計士時代の思い出と共に振り返る~
先日、押し入れを整理していたとき、ふと、40年ほど前に使っていた計算尺が目に留まりました。設計士として駆け出しの頃、計算尺は私の相棒でした。複雑な計算も、これ一本で何とかこなしていたものです。やがてNC機械が導入されるようになり、関数電卓を使い始めた頃から、計算尺は徐々に使わなくなっていきました。そして、電卓やコンピュータの普及とともに、完全に姿を消してしまいました。
一方、遥か昔に中国で生まれ、日本で独自の進化を遂げた算盤は、電卓やコンピュータが普及した現代においても、その姿を残しています。なぜ、計算尺は滅び、算盤は生き残ったのでしょうか?
計算尺と算盤の特性
計算尺:
- アナログ計算道具であり、目盛りを読み取るため、計算結果は概算となります。
- 有効数字は3~4桁程度です。
- 掛け算、割り算、指数関数、三角関数など、多彩な計算が可能です。
- 電気を必要とせず、屋外など場所を選ばずに使用できます。
算盤:
- デジタル計算道具であり、珠を動かすことで正確な計算が可能です。
- 有効数字の概念がなく、桁数に応じた計算が可能です。
- 主に、足し算、引き算、掛け算、割り算に使用されます。
- 電気を必要とせず、構造が単純なため故障しにくいです。
算盤が生き残った理由
デジタル計算の強み:
- 算盤はデジタル計算であるため、計算結果が正確です。これは、僅かな誤差も許されない会計処理などにおいて、大きなメリットとなります。
- 計算尺の様に目分量で数値を読む必要が無い為、人によってばらつきが出ない。
- 教育効果:
- 算盤は、計算能力だけでなく、集中力、記憶力、暗算力など、様々な能力を向上させる効果があると言われています。
- 現在でもそろばん塾などが存在し、教育の場において根強い人気があります。
- シンプルな構造:
- 算盤はシンプルな構造であり、故障しにくく、長期間使用できます。
- 電源を必要としない為、災害時などでも使用できる。
- 文化的な背景:
- そろばんは、日本の文化に深く根付いています。
- 長年の歴史の中で、そろばんの技術は受け継がれ、現代においてもその価値が認められています。
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